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山峡の春・・・大観名画と枝垂れ桜、残雪の山形水石

山峡の春・・・大観名画と枝垂れ桜、残雪の山形水石

山峡の春

大観名画と枝垂れ桜、残雪の山形水石

山峡の春・・・大観名画と枝垂れ桜、残雪の山形水石
主木 一重枝垂桜
鉢 海鼠釉鋲打丸
地板 花梨材長方
添 安倍川石
水盤 青銅地紋楕円(原田峯雲 造)
卓 紫檀喉突平卓
掛物 「曳舟」(横山大観 筆)

「曳舟」(横山大観 筆)
今回ははっきりとした“主役”を決めずに、水石・掛物・盆栽 が共鳴して描き出す“季節感ある空間美”を大切に席飾りをしました。

基本的には横山大観先生の「曳舟」が表す空気感が盆栽と石を包み込んで一体となる事を願いました。
切立つ深い山々は春雨に“おぼろな”山影を見せています。

目を下にやれば、杣人たちが蓑を背に下流から舟を川上へ曳いています。
対峙して凝視するとまるで雪解けの瀬の音が聞こえてくるようです。





貴船の山形石は山懐に残雪を見せ、大観先生の画中の川瀬に繋がるようです。
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一重枝垂桜 鉢・海鼠釉鋲打丸




静かな“春”の訪れを靄立つ景色の中に感得するこの席は、儚さすら感じる“一重の枝垂れ富士桜”の風情で宛ら鼓を打つように一幅の絵巻物の完成を見ているようです。

名品はコレクションとして“家宝”の如く扱われがちですが、盆栽水石愛好家はどんな名作でも、その内容を斟酌した上で“自家薬籠中のひとつ”として道具としても使い切ってほしいものです。

その心中が席中に潜在した時、眼前の世界は“幽玄”と言う審美の醍醐味と言える姿となるでしょう。